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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎


「きゃー!東堂くん!いつものアレやってー」


その黄色い声援から、自転車競技部が練習に出るのだと分かる。
あれから2週間、最初は驚いたけど、ほぼ毎日繰り返されている風景にも慣れてきた頃。


「おぉ!いいとも!」



そう言って彼はピッとファンクラブの女子達に人差し指を向けた。



「登れる上にトークも切れる!更にこの美形!天はオレに三物を与えた!!箱根の山神天才クライマー東堂とはこの俺のことだっ!!よろしく!!」



あの日のように、自信満々に言い放つ姿は輝いて。


すごいなぁ、、、。
私には真似できないや。


こんなに遠くまで聞こえるその声に思わずこの胸が高鳴るのは、、、



ううん、違う。
この気持ちは違う。





高らかに笑う彼を見て嬉しいと思うのはきっと。




夢を語る彼の姿を見ていると
いつか私にも何かできるんじゃないかって、





そんな希望を抱くから。





だって、私と彼じゃあまりにもかけ離れていて。



笑っちゃうくらい。



きっと私は彼の視界にかすりもしていない。


彼を応援する子達は、みんな綺麗で、可愛い子達で。
私は地味で、その中に入る勇気すらない。



そうだ。
だから、そんな期待は抱かない方がいい。




「こら、東堂!練習中だろーが!早くしろ!」

「おぉ、荒北!そーんなに俺と走りたいのかっ??仕方あるまい!それじゃあ、そういうことなのでなー!応援ありがとう!!」





だけど私はその颯爽と駆けていく姿を見られるだけで十分、幸せ。
それだけで、ほらこんなに勇気がもらえる。



彼は私の憧れで、目標なんだ。



「よしっ!」



気を取り直して校舎の裏へと向かうと、そこには色とりどりの花が咲く花壇が広がっていて。


「みんな、お待たせ〜!すぐにお水あげるから、ちょっと待っててね!」



私を見て!
ほら!こんなに綺麗でしょ?


まるでそう言っているように咲く、お花達。
私は軍手をはめてホースを手に取った。



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