【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第15章 小さな心の侵略者
夏祭りのあの夜から、慌ただしく残りの夏休みが過ぎ去っていった。
ジュネスのシフトがみっちり詰められていたのは言うまでも無く、その隙間を縫うように時折、特捜隊の面々と集まった。
事件は久保美津雄を捕まえた所で一件落着ではあった。けど、かと言って特捜隊のメンバーが解散するのも何となく味気ないと皆感じていたんだろう。無論俺もそのうちの一人だった。
それは、他愛もないおしゃべりだったり、偶然見つけた菜々子ちゃんと一緒に、悠の何かと忙しそうな原因を突き止める為に皆で悠を尾行したりと雑多としていたけど、狭い田舎町なりに楽しみを見出していた。
勿論睦月もその輪の中に居たけど、皆の手前、露骨に睦月の隣に居続ける訳にもいかず、心の底ではヤキモキしつつ、それでも睦月と時折目が合うと、少し俯いてはにかむ睦月を見ると安心した様な気持ちになった。
そんな日々の中でも、夜には睦月とメールで確かに繋がっていた。
「明日、登校日ですね。バイトお疲れ様です!」
無機質な文字の筈が、差出人の名前一つでまるで声を聞いている錯覚に陥る。
登校日なんて忘れていた俺は慌てて部屋の隅から通学用の鞄を引っ張り出した。
折角の夏休みだったのに、二人きりで会うチャンスが無く、睦月はがっかりしただろうか。
もし、来月の修学旅行に二人きりになれる時間を作れたら・・・
あれこれと考えているこの時の俺は、その修学旅行先でもやっぱり夏休み同様、全員集合になる事はまだ知らない。
そればかりか、クラブで場酔いした悠が命じた王様ゲームの虚しい結末の事なんか・・・いや。もうこの事は忘れよう。