【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
ひと段落した夏休み。
事件についていくつかの疑問はあるものの、長くも短いその休暇に皆は胸を躍らせた。
堂島家にて全員で行った打ち上げ。
楽しくも騒がしい日が過ぎて行く。
「もうすぐ夏祭りがあるから、それまでに頑張るんだよ?どうなったか絶っっ対!報告する事!」
帰り道に千枝、雪子、りせに改めて声援を送られ、睦月は家へと足を運ぶ。
りせに強く念と背中を押され、睦月はその迫力に少々圧されてしまった。
「花村先輩、もう家に着いたかな・・・」
楽しい余韻の中、部屋の中で携帯電話を握りしめる。
先日、陽介とメールアドレスの交換をしたは良いものの、何をメールにして送れば良いか判らずに、きっかけを失ったままのものだ。
少し躊躇った後に睦月は親指を動かし、メールを打ち込む。
途中、何度も打っては消し、何度も考え込んだ結果、それはとてもシンプルな内容になった。
『先輩に大切な話があります。明日の午後、時間ありますか?』
送信ボタンを押す指が躊躇う。
このままここで引き下がってはもうチャンスがない気がした。
だけど、その一歩を踏みだせない。
その時、不意に携帯電話が手の中で振動し、メール受信の報せが届いた。
「わ・・・!?」
驚いた拍子に指を添えたままの送信ボタンに力が籠ってしまった。
数秒も経たないうちに送信完了の表示が液晶に浮かぶ。
「ど、どうしよう・・・」
もう後悔しても後戻りはできない。