【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
春の雰囲気が漂う、人気の無い廊下。
睦月は今日も来ない同級生の登校を、半ばあきらめた様子で玄関の壁にもたれて待っていた。
「折角同じクラスなのに、入学式の時だってすぐ帰っちゃったし・・・」
幼馴染の一人、巽完二は今日も学校へ姿を現さない。
登校途中に家を訪ねてみた事もあったが、彼の姿を見る事は出来ずに、彼の母親が以前よりも増えた白髪を前に屈めて
「睦月ちゃん、折角来てくれたのにあの子ったら・・・ごめんなさね」
困った様にそう苦笑いするだけだった。
「今日も来ないみたいだなぁ・・・」
制服の上から羽織っている紺色のパーカーの袖を内側からぎゅっと掴む。
それは睦月の身体に対してはサイズが大きく、真新しい制服とは対照的に着古して少しくたびれている。
だが、睦月にとっては新品の制服以上に大切なものだった。