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【ペルソナ4】 Shining one Day by day

第8章 【短編】he is affection doctor


悠の細く長い指が睦月の指に絡みつく。

唇同士が細い糸を絡めながら何度も重なり合う。



その時

「おーい、鳴上?」

ドア一枚越しに先程立ち去った筈の長瀬の声。

「あれ、おかしいな。さっきまで居たのに」

掛かっている鍵にもかまわずドアをがちゃがちゃと鳴らす。


「睦月、静かに」


小さく悠が呟き、睦月の唇を塞ぐ。
その唇を割り開き、悠が舌を滑り込ませる。

「ん・・・」

「駄目。声出さないで」

物音一つ立てられない状況。

にもかかわらず積極的に睦月に声を出させようとする意地悪な悠。


「何だ。もう帰ったのか・・・?」

ぶつぶつと長瀬の呟く声が遠ざかってゆく。

「・・・緊張した?」

「先輩・・・意地悪です・・・」

「ごめんね。睦月があんまり可愛くて。」


悪戯が成功したと言うように笑う悠。


「だけど、あんまり声、出さないでね」


既に誰も居なくなった校舎。
数時間前には大勢居たはずのこの場所には、未だ人の気配だけが残っているような気がする。


その気配を肌で感じながら、睦月は目を閉じた。


薬品の香りが微かに漂う中、甘い衣擦れの音が二人だけを保健室の中に閉じ込めていた。



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