【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第8章 【短編】he is affection doctor
ある日の放課後、悠は保健室で書類を纏めていた。
今日は保険医が急用で帰らなければならず、部活動の生徒が帰宅するまでここに居なければならない。
本来保健委員である生徒達は、小西尚紀の代理として助っ人に来た悠にここぞと言わんばかりに仕事を押し付け、足早に帰ってしまった。
殆どやる事も無く、この狭い保健室にいるのは彼らは耐えきれなかったのだろう。
そうなる事を予測した上で、悠は快く引き受けていた。
自分がこうする事で、尚紀を始め他の皆が気持ちよく過ごせるなら。
そんな悠のささやかな親切心からだった。
しかし、こんな日に限って薬の発注先から電話が掛かってきたり、保険医が見落としていると思われる薬棚の中の在庫を調べたりと、やる事が多く、もし暇ならと鞄に忍ばせて置いた本を読む暇がない。
「お前って何でもこなすよな。俺はサッカーで手一杯なのに」
座っている黒い丸椅子を、床を蹴って軽く回しながら長瀬がさも面倒くさそうに頭を軽く掻いてみせる
つい今しがた、怪我をしたと言って保健室に入り込んで来たサッカー部の長瀬に絆創膏を手早く貼る。
と言っても彼の場合、年中どこかに擦り傷を作っているので半ば雑談に来たような物だ。
「そう見えるか?俺は別に器用とか、何でもできる訳じゃないよ」