第1章 転入生
入学してから、6ヶ月くらいの頃。
俺のクラスに新しい机が置いてあるのを見て
首をかしげた。
席は俺の後ろ。
1人だけはみ出ているその席は誰のものかとクラスがザワつく。
「ねぇ轟くん、この席誰の?」
緑谷が俺の席に来て訪ねてくる。
「俺も知らねぇ。」
そう答えると緑谷は頭をひねった。
「お前ら席につけ」
相澤先生が入ってくるなり、クラスのみんなが
あの机は誰のかと質問する。
一つ溜息を吐いて、先生が手招きをすると
男が入ってきた。
そいつは上田亜依と名乗ったが、
名前がすげぇ女っぽい。
背が俺くらいで、イケメンと言った感じか。
「おいてめぇ…!普通科からとかなめてんのか…!?」
爆豪がつっかかると産まれたての子鹿みたいに足が震えていてすごく可愛かった。
男の方の趣味はないんだが…。
こいつと友達になりてぇって思った。
こんなこと思うのは自分でも初めてだ。
なんだこの気持ち。
幸運なことに席が後ろだったからすぐに話しかけた。
「轟焦凍だ。よろしく」
『焦凍ね。こちらこそ。』
名前呼びなのか…。緑谷たちは皆名字で呼ぶから少し嬉しかった。
後で全員名前呼びと知って落胆するのは数分後。