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あの夕日が沈む前に[ヒロアカ]

第3章 悪夢の先へ




『雨、やまないね』



「そ、そうだね」


二人きりの教室、降りやまない雨。



リカバリーガールからの治療を受けて荷物を取りに教室へ戻ると彼女は寝息をたてていた。



物音をたてずに帰る準備をしていたのに声をかけられてしまい心臓が飛び上がった。



『出久、怪我平気?』


「うぇっ!?上田さん起きてたの!?」



『だから、性別が変わっただけだし、名前でいいの‼なんなら男になろうか?』


「いっいやいい!いいから!名前で呼ぶから」


本当に心臓に悪い。

あすっ...梅雨ちゃんと同じ身長とはいえ全然雰囲気が違うのだ。



『雨やむの待ってるんだ。』



「あれ、傘ないの?」



この時自分はなんてことを言ってしまったのだろうかと後悔した。



『うん。何?相合い傘でもしてくれるの?』



何の恥じらいもなく言うものだから男として心配になってしまう。




「ぼっ僕は走ってかえ...『んーー?』」



強引な彼女に押されて一緒に帰ることになってしまった。


こんなところ誰かに見られでもしたらと考えると気が気でない。

特にかっちゃん...殺される。



やっぱりひとつの傘を二人で入るには狭く、距離も近いので緊張で手を強く握ってしまう。



『最近よく皆から好きな人を聞かれるんだけど出久は好きな人いないの?』



「えっ...オールマイトかなぁ」




君だよ。なんて言う勇気もない僕はとっさに憧れを口に出してしまった。


ごめんなさいオールマイトッッ!



『なるほど、そういうことね!』




何も知らない無知な亜依には申し訳ない話だけど。




『私ね、この前親に言われたんだ。好意を引き寄せる個性がすこしばかり入ってるかもしれないって。』



「個性2つもあるの?」



『いや、分からないんだけどね。実感がないの。まぁ好きな人なんてできないんだろうけどさ』



苦笑いする彼女を見つめながら、自分は本当に運命の相手にふさわしいのだろうかと感じた。




怯えながら寮に帰ると共同スペースに誰もいなかったから内心ホッとした。
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