第8章 なんだか照れるね··· ( 逢坂 壮五 )
後日。
万理さんから社長室に来て欲しいと連絡があり、愛聖さんと揃って社長室へと出向く。
小「この前の撮影したやつ、発売前のが届いたから見せてあげようかと思ってね」
万「俺も先に社長とちょっと見せて貰ったけど···いやぁ、若いっていいなぁ···」
小「そうそう!僕も年甲斐もなくドキドキしちゃったよ!」
ドキドキって···あ、もしかしてあの雨の時の?
その時の事を思い出し、何となく居心地のなさに肩を竦めてしまう。
小「ほらこれを見て?なかなかいいじゃないか、壮五くんと愛聖さんのピュアな感じが全面に出て、読者もきっとドキキュンしちゃうと思うよ~?」
ほらほらー!と雑誌を広げる社長の手元を見て、僕達は···驚いた。
「これって···」
『帰りのロケバスの中、ですよね?』
ページに載せられている写真は、愛聖さんの言う通り帰りのロケバスでの写真で、隣同士に座った僕達が掲載されていた。
あの時、早朝から準備の為に現地入りしていて、撮影も全部終わったって聞かされて、気が抜けたのと朝早かったってのが重なって···愛聖さんが眠ってしまって、僕に寄り掛かって来たんだ。
最初はびっくりしたけど、でも、その愛聖さんの暖かさと、ふんわりと甘い香りに包まれて···いつの間にか僕も眠ってしまった。
万「しっかり手まで繋いじゃって、寄り添うように眠ってるとか···」
小「超ラブラブって感じが伝わって来るよ!」
万「あぁ、社長?···超、って言うのはなんか死語っぽいです」
小「えっ?ホント?」
雑誌を見ながらキャッキャとする社長と万理さんを見て愛聖さんが笑う。
『逢坂さん、知らない内に撮られてたなんて驚きですよね』
「そうだね。この構図とか···なんだか照れるね···」
雑誌の中にいる僕達は、本当に仲睦まじい恋人同士に見えて。
「愛聖」
『壮五さん』
あの時の様にお互いに呼びあって、微笑み合う。
小「あれ?どうしたのふたりとも···」
『いえ、別に···』
「なんでもありません···」
だけど···あの時とは違って、盛大に照れてしまった。
~ END ~