第6章 秘密のKISS (2019.2.14 大和 生誕)
ピタリと止まった手を探るように掴み、そのまま起き上がれば···なんとも言えない恥ずかしげな顔の愛聖が膨れていて。
『二階堂さん···さっきから変な声とかやめて欲しいんですけど』
「変な声?だって愛聖がイイトコ刺激してくれるから、つい声が出ちゃうんだよ。でもそのおかげで体は軽くなったよ、ありがとさん」
『じゃあ、私はもう戻りますね』
モゾっと動いてベッドから降りようとする愛聖を捕まえて、机の引き出しからタマ手懐け用のキャンディをいくつか手のひらに乗せてやる。
「ご褒美···って訳じゃないけど、やるよ」
『お子様扱い···』
「違うって!ご褒美だっつーの!それに、本当はマッサージじゃなくて、アイツらがいなかったら即答でキ···」
···っと、危ない危ない···口を滑らせるとこだったわ。
『キ···?···なんですか?』
「いやぁ···まぁ、気にすんな」
『そうですか···じゃあ、これは遠慮なく頂いておきますね』
どうぞどうぞ~と笑って脱ぎ捨てたシャツを着れば、愛聖が少し笑ってオレの眼鏡をスッと外した。
「こらこら、お兄さん眼鏡取られたらなんも見えないじゃないの」
『二階堂さんて、眼鏡ないとイメージ凄い変わりますね···あ、まつ毛が目に入りそうなので取ってあげます』
「あ、そう?じゃ、よろしく」
近付く指先を遮るように軽く目を閉じれば、その指先はオレの目元なんかじゃなく···頬に当てられて。
そんな所についてるなら、目を閉じる必要なかったか?なんて思ってゆっくりと目を開ければ。
フニッと柔らかな感触がして。
至近距離に···眼鏡がなくても分かるほど近くに、愛聖の肌が見えて···やがてゆっくりと離れていった。
『特別サービスのオプション付けてみました。お願い事を2個聞いたのは、内緒ですよ?』
パタンと閉じられたドアを見つめたまま、しばらく呆然とする。
···やられた。
まだ生々しく残る感触に指を当てながら、やってくれたな···と口元を緩ませる。
「やってくれたよ、ホント」
ポツリと呟いて、そそくさと眼鏡をかける。
そのレンズは、自分の体温が上がってるとばかりに···うっすらと曇っていった。
~ END ~