第4章 一織には負けねーからな!! ( 和泉 三月 )
「そんな事は気にすんなっての」
『一織さんにたくさん怒られちゃって。兄さんに心配かけるな!って』
一織に?
まぁ、怒ってたっちゃ怒ってたけど。
あれは一織の構いたがりの裏返しみたいなトコもあるしなぁ。
「あんだけ熱出してりゃ、オレじゃなくても心配するっての。ほら、食えそうなら少しでも食っとけ?」
取り分けたお粥を掬い、ふぅふぅと冷ましながら口元へと運んでやる。
一織が小さい時も、こうやって···あ。
「わ、わりぃ!つい」
危ねぇ、オレ今とんでもない事するとこだった。
クスクスと笑い出す愛聖と目が合い、恥ずかしさが増していく。
『三月さん?ちょっと恥ずかしけど、せっかくなので···お願いします』
「え?」
『だから···お願い、します』
「お、おぅ···分かった。ほら···あ~ん」
お互いに妙な緊張が走りながらも、ひと口、またひと口とお粥を掬っては食べさせる。
もし、一織だったら。
何の抵抗もない “ フリ ” をして食べさせるだろうな。
いや、今それ考えんの···やめよ。
オレにはオレにしか出来ない事、そういうこともあるだろうから。
『ごちそうさまでした。三月さん、とっても美味しかったです』
「お粗末さまでした···なんてな」
実際、作った量の半分も食べてないけど、今はそれが精一杯なんだろ。
「早く治せよ?オレだけじゃなくて、みんなも心配してんだからな」
『はい···』
「薬飲んだらまた寝とけよ?寝るのが一番早く治るからな」
ベッドに寝かせて布団を掛けてから言って、オレはドアを開け···
大「あ、やば」
環「ヤマさん押すなって」
一「私は止めましたよ」
ナ「oh...ミツキだけマリーとラブラブしてズルいデース」
···。
「お前ら······ここでなにやってんだァ!!!」
壮「三月さん、病人がいるから静かに」
壮五まで?!
大「いやぁ、イチにミツが介抱してるって聞いて、な?」
「な?じゃねーよ、おっさん!」
壮「だから病人が···」
あ~くそぅ!もどかしい!!
それから数日、なにかにつけて大和さんに絡まれる日々が続いた···
大「ミツ。オレにもあ~ん、して?」
「す~る~かっ!自分で食え!!」
~ END ~