第3章 お兄さんこういうの苦手なんだよ ( 二階堂 大和 )
万理さんの口元には、オレ達よりくっきりとキレイな赤い唇の跡。
百「あーっ!イイなぁみんな!羨ましいっ!!」
また面倒なのが増えた···
『じゃあ百ちゃんにも大サービスね!』
百「マジで?!やったぁ!じゃ、お願いしマース!」
『はぁ~い!じゃあ···』
さっきと同じようにチュッと音を立て、愛聖が口付けた。
百「オレだけほっぺ?!」
『二階堂さんと千は特別なの!演者だから』
百「だってバンさんはほっぺじゃないじゃん?!」
万「百くん···俺は愛聖にイタズラされただけだから」
百「オレもイタズラされたい~!」
···なんだよ、このテンション。
この後オレ達、撮影あるんだぞ?
『じゃ、私もっかい着替えてくるね?千に大事にされた後だけど、これからまた二階堂さんに手荒くされる予定があるから』
「おい、誤解を招く言い方しなさんなって」
百「えぇっ?!もっとおしゃべりしたかったなぁ!」
千「大和くんに何度も乱暴されて大変かもだけど、僕が何度でも···優しくしてあげる」
「お生憎様!次は···キメるから」
ピクリと反応するこめかみを押さえ、オレはオレで支度に入る。
さっきの···あんなの見せつけられたら。
負けちゃいらんない。
いつか聞いた、一生懸命ってヤツを試してやりますかね。
「二階堂さん、お願いしマース!」
「はい!いま行きます!」
手にしていた台本を万理さんに預け、前に出る。
何事も経験。
苦手は克服しないと、これから先が···待ってるからな。
歩きながらメイク直しをされ、衣装のシワも直される。
よし、完璧。
そんじゃ、オレなりの一生懸命···頑張りますか!
「二階堂さん入りマース!」
「よろしくおねがいします!」
~ END ~