第11章 A little more to love (大神万理 )
『それでね、衣装合わせの時も千と百ちゃんで意見が割れて結局どっちも引かなくて、千の時は千が選んだドレス、百ちゃんの時は百ちゃんが選んだドレスを着て撮影することになったの』
「へぇ・・・打ち合わせや衣装合わせの時は社長が同行してたから、俺はその2人が選んだってやつを楽しみにしとくよ」
ポスターやパンフレット用に撮影した分は、社長に見せて貰ったからどんな物を着たのか知ってるからね。
千とのは淡いパステルグリーンのコードレースを重ねたドレスで、百くんとのは同じように淡めのベビーピンクのドレスに大きく華やかなリボンが肩口にデザインされていて可愛かったよなぁ。
・・・千との方は露出多くない?!花嫁だろ?!って思ったけど。
『1日中取っかえ引っ変えに着替える私は大変なのに、万理は呑気過ぎる』
「まぁそう膨れるなって」
アイドリッシュセブンの方で急な予定変更があり、社長に今日の愛聖の同行を頼まれて撮影現場へと車を走らせる。
某大手ホテルの中に新築されたウエディングパレスのCM撮りで、今日は朝から夜まで丸一日仕事だ。
とは言っても、俺はあくまでもマネージャーだから愛聖に比べたら忙しくはないんだけどね。
「ほら、もう着くから。そろそろ、その膨れっ面をなんとかしといてね?」
『・・・分かってるってば』
そう言いながらもやや不機嫌な顔をしたまま、窓の外を流れる景色を見ている愛聖に小さく笑う。
きっと愛聖は現場に着いたら、お仕事スイッチONになるからと、駐車場で車を停めてこの後の事を予想しては口元を緩ませた。
『おはようございます!今日はよろしくお願いいたしまーす!』
・・・ほらね、俺の予想通り。
入口付近にいたスタッフはもちろん、中で準備をしているスタッフたちに声を掛けながら奥へと進めば、愛聖のとびっきりの笑顔にみんなも顔が緩んでいく。
中でもダントツで緩みっぱなしなのは・・・
百「おっはよーん!今日はよろしくねマリー!」
元気よく駆け寄って愛聖に飛び付く百くんと。
千「おはよう、僕の花嫁さん?せっかくだから今日はこのまま、僕とホントに結婚式挙げちゃおうか?」
当たり前のように愛聖を抱きしめて離さない、千。
・・・出たなRe:vale。