第9章 決意
マイクは、そっと病室の扉を開けて、それからすぐにそっと閉じた。
──ま、俺は行かない方がいいよな。
──2人にさせてやれ。
その日、マイクは仕事を終えてすぐに相澤の見舞いに行った。
相澤とは高校からの仲だ。
当時から親しくしていたし、それは勿論、今でも変わらないのだが──だからこそ、今はその病室に入るべきではないと思った。
先客がいたのだ。
──全く、消太もあんな子供に心配かけさすなよ…
先客は流衣だった。
制服姿のままいたところからして、家に帰っていないのだろう。
この状況で、彼女が「相澤のいない」家に帰りたがるとも思っていない。
──やれやれだ。
教師としてそこは咎めるべきなのだろうが、何も言うまい。流衣は生徒だが、それより先に友人なのだから。
友人が友人の心配をしているというのに、そこを咎めるのは嫌だった。