第8章 昔の話
ミッドナイトの例の授業から、数日後。
流衣が帰ろうとしていると、
「時暮くん」
大きな図体の、小さな声が流衣を呼んだ。
振り返るとそこには、──柱の影に全く隠れきれていない、オールマイトの姿。
「…何してるんですか」
溜息を吐くと、相澤くんと似てきたね、と苦笑される。
「いや、個人的に君のことは気になっていてね。少し話せないかな?」
「?」
よく分からないが、取り敢えずと彼の後をついて行く。
例の如く仮眠室に案内される。
ドアが閉まったのを確認してから、流衣はソファに腰を下ろした。
「何ですか?気になって、って」
「…緑谷少年とは、友達になれた?」
痛いほどに、心配されているのが判る表情。
骸骨姿に戻った彼は、鋭いともとれる眼力から、心配の色を覗かせていた。