第7章 不仲な2人
うおおおお、と授業が始まる前からテンションが高いのは上鳴と峰田だ。
何せ、これから──ミッドナイトの、戦闘実技訓練なのだから。
「はい、じゃあこれから授業を始めるわよー…って、1人足りないわね」
ミッドナイトが、色香を隠そうともせずにゆったり歩いてくる。
その様子に、(一部の)男子達は色めきだったが、緑谷は違和感を覚えた。
──いくら教師とは言っても、ミッドナイトの授業は初めてだぞ?……そんなに、生徒の顔って覚えてるものなのかな…?
しかし、よく考えてからその違和を拭った。
──ああ、そうか、人数で気付いただけなのか。
そして、漸く、その「足りない」クラスメイトが、流衣だということに気付く。
──時暮さん、いない…
他にも流衣がいない事に気付いたクラスメイトたちは緑谷に視線を送ってくる。
──だから違うって言ってるのに…!!
なぜ寄り道しただけでこんなにも噂になっているのだろう、と緑谷は思う。
女子と噂になったのが初めてでもある為、その対応にはずっと困っていた。
──時暮さんも、否定してくれればいいのに…!!
一方、事情を知らないミッドナイトは、顔を真っ赤に染める緑谷を見て不思議そうに首を傾げるが、他の生徒たちの表情からある程度の事を読み取った。
はぁ、とミッドナイトは溜息を吐いて、どこかに電話を掛けた。
「…うん、……………頼んだわよ」
それだけを伝え、すぐにミッドナイトは電話を切った。
「足りない子はすぐに来るから、心配しないでね」