第1章 開幕
──『…villain50/rescue5』
特に目立つ成績ではない彼女の事を目に留めたのには、確たる理由が存在した。
そして、その部屋にいる全員がそれを理解していた。
しかし、その名前に──ギョッとする男が、ここに1人。
──おいおいおい…俺は聞いてねぇぞ…
その女子生徒の名前は、男にとって最も馴染み深いものだった。
しかし、それと同時に、ここで聞くはずもない名前でもある事も理解している。
なぜなら──
──あいつ、私立に行く予定じゃなかったか………?
彼女が雄英に来るなど──全く、聞かされていなかったのだから。