第32章 閉幕
「….あの、」
静まり返った教室。
無意識のうちに相澤と抱き合っていたために少々気まずくなったが、相澤は顔色ひとつ変えない。
流衣も気にすることはないのかもしれない、と気を取り直した。
クラスメイトたちは、皆静かに流衣の話を聞こうとしている。
ぺこり、と流衣は頭を下げた。
「………今まで騙してて、ごめんなさい。
私、実は個性持ってて、ヒーローではあるけど、国からは監視対象として扱われてるの。
神野事件でも、エンデヴァーと一緒に行動してた」
だから爆豪を助けるって話が出たときも、自分で動くことができなくて、申し訳なかった。
話すその声が、震えるのが判る。
──ああ、だめだ。
──泣きそうだ。
「はっ」
あからさますぎる嘲笑が聞こえて、思わず顔を上げた。