第31章 向き合うことは時として混沌
ピロン
スマホが、メッセージの受信を知らせた。
ベッドで寝ていた流衣は、その音で目覚めた。
重い腕をあげ、メッセージアプリを起動する。
送り主は、確認せずとも誰か判っていた。
気持ち的に、まだあまり話したくなかったが、彼が送るということは、その内容は重要なはず。
見る他なかった。
そして開いて、流衣は固まった。
『生徒たちにお前のことを話した』
──…………は?
目が点になる。
そして数秒、ようやく頭がクリアになった。
なんで勝手にという気持ち半分、自分だけでは話すのは辛かっただろうから、ありがたい気持ち半分。
──学校、行きたくないな。
『そろそろ体力も大丈夫だろ。
明日は来いよ』
続けて、こんなメッセージが来る。
長年一緒にいたからか、そんなことも彼はお見通しらしい。
それが嬉しかったり、切なかったり。
──私のことを見てくれてるって思うのは嬉しいけどね。
こんな小さなことで拗ねているのは、まだ自分が子供だからなのだろうか。
精神的に、未熟だから。
だから彼も、自分のような人は似合いでないのだろう。
──諦めるべきかな、私。
──ならせめて、明日だけでも。
『わかった。
明日朝、迎えに来て』
2人で一緒に、登校する。
ずっと憧れていたことだ。
友人でも、恋人でも良かった。
とにかく誰かと、一緒に学校に行ってみたかった。
──…相手が相澤になるとは思ってもみなかったが。
でも、いい機会だ。
状況的に、明日自分が平静に登校できるとは思えないし、自分を勇気づけて欲しい。
こんな状況にしたのも相澤が原因なのだから、と勝手に決めつける。
『わかった』
あっさりとした返信を見て安心し、流衣は再び深い眠りについた。
明日のことを、まだ考えたくないとでも言うように。