第28章 気付く時
「あ、流衣ちゃん!」
風呂上がり、流衣が服を扇ぎながら共有スペースを歩いていると、クラスの女子たちに呼び止められた。
林間学校が終わってこの方、何かと女子たちは流衣に声を掛けるようになっていた。
というのも、今日1日ではあるのだが。
意外と気さくだと思ったのか、壁が取り払われたと感じたのか。
その程はわからないが、流衣にとってそれは嫌なことではなかった。
「どうしたの」
しかし、皆、流衣が今日なぜ学校に来ていなかったのかの理由には触れない。
気になる事ではあったが、相澤の言葉を含めて考えると、デリケートな部分であり、容易に触れていものではないと察したからである。
そして、その気配りに流衣は助けられており、全く関係のない話ばかりを振ってくれる彼女たちに感謝もしていた。