第26章 少女はヒーロー
脳無の数が漸く増えることを止め、エンデヴァーと警察の手によって全てが拘束された、その直後──流衣は、ふらっとその場に崩れ落ちた。
「う…」
個性の使いすぎだった。
眩暈がする。
動悸も酷い。
エンデヴァーは脳無を警察に任せ、流衣の元へ行く。
「使いすぎか」
「た、ぶん…」
「入院でもするか?救急車は恐らく呼べんぞ」
「いや、いい…イレイザーヘッド呼んで、くれる…?いなければ、プレゼント・マイクでもいいから……」
力を使い果たしたのか、そのまま流衣はくたりと倒れた。
フン、とエンデヴァーは鼻を鳴らす。
「俺はイレイザーヘッドもプレゼント・マイクも、連絡先なんぞ知らん」
さてどうしたものか、と。
自分は何もできないと分かり、塚内が来るまでの間、エンデヴァーは流衣をじっと見つめていた。
恐れられても尚、ヒーローとしての矜恃を忘れず、仲間の為に戦った──その姿を、目に焼き付けるかのように。