第26章 少女はヒーロー
代わりに、
「だが君は、個性の使用は禁じられているはずではないか?」
ジーニストが冷静な目をして問うた。
面識のある流衣は、ジーニストにとって年下のヒーローでしかなかったが、しかし、国に監視される立場にある存在であることは分かっている。
そして、彼女の個性がどれほど危険であるかもまた、理解していた。
しかしあくまで、流衣はヒーロー。
資格を持つ者として動くというのであれば、こちらに止める権利は無いのである。
「…あれ、皆さん、通知見てないですか?
私、昨日から……戦闘許可、下りてるんです。
ようやく勝ち取りましたよ」
やはりなぜか苛立つように言う流衣の言葉に驚き、皆がスマホを見る。
そして、彼女の言ったことが本当であることを確認し、その色は安堵や労いに染まった。
ささやかな祝福だった。