第26章 少女はヒーロー
会見が終盤に差し掛かった頃。
「何で俺が雄英の尻拭いを…こちらも忙しいのだが」
「まァそう言わずに…OBでしょう」
「雄英からは今ヒーローを呼べない。大局を見てくれ、エンデヴァー。
今回の事件はヒーロー社会崩壊の切っ掛けにもなり得る
総力をもって解決にあたらねば」
とある部屋に、十数人の大人が集まっていた。
一見すると、年齢や容姿、性別など、全く共通点の見当たらない大人たちだったが、あるとすれば、1つ。
それは、彼らが数々の実績を残してきた、実力派ヒーローだということだ。
その中で唯一、どうしてか苛立っているエンデヴァーを、塚内や他のヒーローが宥めていた。
すると、扉の方から、若い声がした。
「現役雄英生でいいなら、私も行くけど?
…ほら私、そこのカッカしてる人とは違って、超暇だからさ」
黒い戦闘服を身に纏う流衣は、苛立ちを隠そうともせずに笑う。
なぜ苛立っているのかを理解できた人間はおらず、オールマイトは、
──相澤くんが頭下げてばかりなのを見て、それが嫌だったか…
と半分だけ正解に思い至っていたのだが。
「時暮ちゃんじゃないか!?」
「ほう…例の事件の子供か」
「…助かるよ」
ヒーローたちは、それぞれ違った反応を見せる。
エンデヴァーだけは、「お前が来るなら尚更俺は要らんだろう」などと呟いていたが、それに答える者はいなかった。