第24章 林間合宿──私情
「は………?何で敵が──…」
A組の生徒の心の声と、物間の唖然とした呟きが重なる。
そんな中、流衣はガタッと立ち上がった。
そして、相澤の袖を掴もうとした手が宙で止まった。
「…」
──まだ、駄目だ。
──動いちゃ、まだ……………っ
動ける立場にいないことが、今、こんなにも、苦しい。
ギリ、と歯を食いしばる。
ブラドは心情をある程度察したようで、流衣の肩を優しく叩いた。
相澤はそれを一瞬だけ複雑そうに見つめ、それから
「ブラド、ここ頼んだ。俺は生徒の保護に出る」
言い終わるが早いか、相澤はバッと廊下に飛び出した。
泣きそうな顔で、流衣はその背中を見つめる。
「大丈夫だ。信じろ」
ブラドの優しい声でも流衣はやはり悔しそうに、拳をきつく握りしめていた。