第21章 過保護と努力
しかし、流衣が同級生と連まないのは──自分の事情を話すわけにはいかないからだと、訊かれては困るからなのだと──相澤は知っていた。
──"できた友達と距離を置くくらいなら、最初から友達なんて作らない方がいい"。
流衣は、そう考えるタイプの人間だ。
そして、だからこそ──いや、決して家に1人で置いておくのが不安だからなどという理由ではない──相澤はこう言った。
「合宿はあくまで、個性を伸ばすためのものだが──…流衣も来い。
これを機に、親しくなればいいだろ」
お前も友達くらい作れよ。
そう続けると、流衣は何とも複雑そうで、しかし嬉しさが勝っているような──そんな表情をして、頷いた。
「余計なお世話ですぅー」
素直でない言葉と共に。