第21章 過保護と努力
「皆…土産話っ、楽しみに…うう、してるっ…がら!」
一部だけがどんよりとし、また、一部は彼らを慰めんと必死になる、そんな教室の中。
流衣は、後ろに座る轟に質問を重ねていた。
「今泣いてる女子は?」
「芦戸三奈。個性は酸」
「じゃあ、あのツンツンヘアーの赤い人は?」
「切島鋭児郎。個性は硬化」
「……頑張る」
グッと拳を握りしめて宣言する流衣に、轟は珍しく呆れた表情を見せた。
「お前…本当に……クラスメイトに興味なかったんだな…」
テストが終了し帰宅すると、流衣は相澤に課題を言い渡された。
──「やはり"無個性"としてもお前は充分に強い。問題はコミュニケーション能力だ、分かってるだろう?当面の間、お前の課題だな」
クラスメイトたちと仲良くなること。
それだけを心掛けろ、と言われたのだった。
それは相澤だけでなく、マイクにも常日頃言われていた事だったし、オールマイトにも言われた事がある。