• テキストサイズ

【ヒロアカ】"無個性"だけどヒーロー科

第18章 「オフのヒーロー」



──この拗らせ具合、どうにかなると良いけど…

そうは思うも、こればかりは周囲でなく本人の努力も必要である。

もっと周囲と関わろうとしてくれなければ、これは改善されない。

だが、流衣はクラスメイトを拒絶している。

普通科のように変な僻みも少ないヒーロー科、特にA組はいわゆる「いい人」が多い。
その中でも比較的コミュニケーション能力が高く、社交的と思われる緑谷や蛙吹に対してすらもあの態度なのだから、他のクラスメイトたちへの態度は想像に難くない。

彼女の単独行動に対しての言葉からも、クラスメイトたちが彼女と親しくないことは明白である。

──でもかと言って、私たち教師が口を出すのも違う。

ちらりと隣を盗み見る。

やはり流衣は、哀しい表情。
寂しがりなのに頑固で意地っ張り。
自分の感情を隠す癖がある。

自分たちヒーローは、彼女を救うことができるだろうか。
もしくは、彼女に「ヒーロー」が現れる日は来るのだろうか。

セメントスは、知らなかった。

彼女には既に、「相澤消太」というヒーローがいるということを。

彼と一緒にいるのは、彼が流衣を孤独から救い出した張本人だからなのだと。

しかしそれでも、彼女が現在、孤独による寂しさを感じていることには変わりなく──そういった意味での「ヒーロー」がいつ現れるのか。

それはまだ、誰にもわからないことだった。



/ 288ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp