第12章 友達、そして覚悟
でも、かといって、もし、自分が流衣の同級生だったら。家族ではなかったら。
そう思うも、甘い結末には決してたどり着かない。なぜなら、──ただの同級生なら、事情を知ることもできないのだから。親しくなることすら、叶わないだろう。
──皮肉だな。
彼女の同級生たちが羨ましいと思うのに、その立場になれば、この距離には絶対になれないのだ。
流衣は今、誰にどのくらい、心を許しているのだろうか。
自分には?マイクにはどうか。それとも、同級生である緑谷が1番話しやすいのだろうか?もしくは、緑谷とは別に、話しやすいクラスメイトが他にもいる?
わからない。
自分はちゃんと、流衣の求める「居場所」を、提供できているだろうか。自分の隣にいて、彼女は安心できているのだろうか。
安心したくて、彼の隣を求めている彼女の気持ちに、相澤は気づくことができなかった。
そして、この、相澤の「理性」が、後に大きなすれ違いを起こすのだが──それはほんの少しだけ、先の話。