休載P4A 【 My happy definition】
第6章 不良くん(アニメの5話)
赤い夕焼け。悠くんと菜々子が待っているので、足早に家へと向かう。
「なんだか、元気だね?」
「えっ」
「千枝たちと遊ぶの楽しかったの?」
急に彼の様子はどぎまぎと、ぎこちなさが感じられる。言わなかったほうがいいのかな。私は困ったような顔になってしまったのか、悠くんは慌てた口調で言ってくれた。
「ルナさん、楽しかった。
いいことがあったんだ。そのうちわかると思う」
サプライズ??だとしてもそのようなイベントがあったような記憶もない。ジュネスの特売日とか陽介くんが秘密に教えてくれたのだろうか。一応、私は堂島家の家事を担当しているので、そこのとこ大事である。すこーーし何かの出費が抑えれれば、ちょっといいお肉で焼肉でもしたいものだ。
「そっか、楽しみだなぁ」
悠くんが少し首を傾げた気もするが、私はよだれが垂れてしまいそうな口をキュッとした。困った顔よりも酷い顔をしていた気がする。
肩を並べて歩いていると、夕焼けに照らされ伸びた私たちの影が歩くたび1つになったり2つに分かれたりとしている。悠くんはどう思っているのか、おそらく影なんて気にしていないのかもしれないが、こうして一緒に誰だと家まで帰れるのは嬉しい。菜々子と歩いている時とはまた違った、安心感がある。
「まだ悠くん来てから、全然経ってないけど、
今日は一緒に帰ってくれてありがとうね。
すごく心強い気がするんだ」
彼にはなんだか、不思議な力がある気がする。少ししか一緒にいないのに、この落ち着いた感じ。悠くんの顔を見上げると、驚いた顔をしている。突然お礼なんて、やっぱりおかしかったのかな。
「いや、それならよかった。
いつでも一緒に帰るよ、ルナさん」
「うん、今度は菜々子も一緒に行って、みんなでジュネスでお買い物しようか」
「俺も菜々子と仲良くなりたいから、楽しみにしてるよ」
「菜々子はちょっと人見知りだからね」
足立さんの時も、しばらく顔を見ないようにしたり、ご飯もお父さんの影になる位置で食べたりと、菜々子も違う意味で頑張っていた。でも、お父さんと足立さんの掛け合いがなんだか面白くって、いつのまにか菜々子も笑っていた。
「うん、悠くんはお茶目さんだから、いけるよ!!」
「まだ俺はお茶目さんなのか!?」