第11章 万華鏡
「俺の気が済まない」
遠慮するを引きずり、訪れたのはいつも彼女が見ていた雑貨屋だった。
小物が沢山揃っているその中の商品を、元気な時によく覗いていたのを覚えていた。
どうやらそこは、手作りの物を販売している店のようで、様々な用品が取りそろえられていたが、いずれも大型店には置いていない珍しい物ばかりだった。
「だ、だって…!そんな大した物、奢ったわけじゃないし…!
わ、私の…、我儘で来てもらったし…!」
と散々遠慮していた。
「じゃあ………牛島くんの、選んだものが、欲しい……」
恥ずかしそうに、目すら合わせずには言う。
その様子があまりに可愛らしく、顔が緩むのを腕で隠しながら店内を見渡した。
俺が目を惹かれたのは、宝石を模したガラスが嵌め込まれた小さな指輪だった。
オーロラのように、角度を変えると色が変わって見えるガラスは、彼女に初めて会ったときの印象とよく似ていた。
「なんでも、嬉しいから……」
「本当だな?」
と再三確認をし、ついでにケースも付けてもらう。
は楽しみにしてる、と店の外で待っていた。
その発想すら、嬉しく思う。