第7章 戯れの花
「…あぁ…ん」
抑えた甘い声が脳髄まで響く。
どのくらいこうして組み敷いていただろうか。
大分無理をさせているに違いない。
頭でわかっていても、あまりに心地良い体内に抗えずにいた。
「んんっ……!!」
か細く小さな身体が震えて達する度に、そのまま消えてしまうのではないか不安になる。
「…っ」
「ん、だ、だいじょうぶ……あっ、ごめ、ね?
きもち、いい…っ?」
「…ああ」
汗ばんだ額に絡む髪をそっと拭い、額にキスを落とす。
「ひぁ…っ」
余計奥に打ち込まれた楔に反応され、きゅっと絞られた。
「ああ、あっん、あぅう…っ!!」
ぐいぐいと奥に挿入れ、お互いのいいところに当たる体勢を整える。
すがるように手が身体に回される。
体格差のせいで回りきらない腕がもどかしい。
首に回すように誘導すると、両手が顔を近付けてくれる。
「ああ…っ」
伏せられた長い睫毛に涙の滴が揺れる。
「…」
「牛島くんっ」
「名前を、呼んでくれないか」
「……っ!」
「若利くん…っ」
「最高だ…っ」
可憐な唇から紡がれる名前に、言い様のない幸福感が過る。
どくどくと脈を打ちながら白濁とした欲が出ていく。
背筋に流れるひんやりとした快楽を体外に逃しながら、あまりにも愛おしいその身体を抱き締めた。
「牛島くん、あのね…次の…」
学校では、はすっかり今まで通りの呼び方に戻されていた。
「ごめんね、まだ、恥ずかしくて……」
「いずれ慣れるだろう。
困ったら遠慮なく呼べ」
少しむっとしながら言ってしまい、切なそうには俺から目を外した。
「いつか、そんなに意識しないで、言えるようになっちゃうんだ……。
それは、寂しいね……。
大事にするね、この時間……」
照れた顔と声で言われると、そのままでいいとも思ってしまった。