第4章 あくまで執事として
蓮side
郁翔が俺に恋愛感情なんて抱いてるわけがない。
さっきだって俺の言葉に顔色変えずに頷いた。
あくまで執事・・・
わかってる。
わかってるよ。
釣り合わないことだって。
もし、俺がこの家に生まれなかったら郁翔と恋人関係になれたのかもしれない。
身分なんてなければ・・・
「蓮様、ご無事ですか?何処も痛くありませんか?」
「あぁ。大丈夫。ありがとうな。」
「蓮様の執事ですから。」
「そうだったな。」
犬塚さんの誕生日会は無事終わり、俺達は早めに帰宅した。
「まさか、犬塚様が蓮様にあんな感情を持っておられるなんて・・・気づきませんでした。申し訳ございません。」
「いいよ。気づかないのが普通だって。それに、郁翔じゃない他のやつだったら助けねぇから。」
「はい。」
郁翔はその後も普通に朝まで仕事をしていた。
そして、いつもの朝が来た。
「蓮様、朝です・・・」
けど、声はいつもの声じゃなかった。
目を開けると執事の格好をした別の男。
郁翔は荷物をまとめ、家からいなくなっていた。