第4章 あくまで執事として
蓮side
郁翔は何の変化も無く、普通に接してくれた。
もちろん、俺も。
というか・・・
「蓮様・・・違います。あなたの頭は一体何が入ってるのですか?何度言ったら理解できるのですか?これぐらいの事、小学生でも聞いたらすぐに理解できます。」
「う・・・」
変わらなすぎてムカつく。
少しでも気があるのかもと思った俺が馬鹿だった。
「ほら、手が止まってます。動かしてください。この間にも時間はどんどん過ぎていきますよ?」
「わーってるよ!」
あー・・・頭良くなりたい。
せめて、賢人くらいには・・・
いや、アイツも次元が違う。
聞いたところによると、模試は全国3位取ったことあるとか。
何で俺の周りは天才でモテるやつばっかなんだよ。
「今日はここまでにしましょう。」
「終わったー・・・」
俺は頭も心も疲れて、机に項垂れていた。
「蓮様、お疲れの所失礼します。来週、西園寺様の会社の副社長様の誕生日会を開くそうです。」
「・・・犬塚さん?」
「はい。今年は必ず参加を・・・」
「いや。行かない。」
「・・・ずっと思ってたのですが、どうしてそんなに避けるのですか?犬塚様の誕生日会は毎年断っていらっしゃいますが・・・」
「嫌なのは嫌。断っといて。」
「ですが、西園寺様から直接手紙が・・・」
お父さん・・・なんでそんなにしつこいんだよ。
「犬塚様の事・・・嫌っているのですか?」
「・・・そんなんじゃない・・・」
「ではどうして?」
「・・・別に行きたくないだけ。」
正直、あの男が怖い。
昔はよく遊んでくれるいい人だった。
大好きだった。
けど、ある日を境にあの人に対して恐怖感を持つようになった。