第3章 構って欲しいだけ
郁翔side
「蓮様、良いご友人を持たれましたね。」
「……お前さ、何か今日いつもと違うよな。」
「そうですか?」
「怒ってるっていうか……まぁ、いつも真顔だからな。俺の気のせいならいいけど。」
「……蓮様の勘違いかと……いつも通りですよ。」
「そう。」
自分自身、いつも通りに接しているつもりだった。
今思えば少しイライラしてたかもしれない。
妬いてる?
それは無いはず。
「賢人良い奴だろ?」
「そう……ですね。」
蓮様はずっと親友である賢人様の話をしている。
俺の事はまるで存在していないかのように感じる。
親友が出来たのは嬉しいけど……俺との会話が減った。
もっと話したい。
近くにいたい。
その思いは『執事として』ではないのは自分でも分かっていた。
「?郁翔……具合でも悪いのか?」
「……い、いえ……」
「……今日はもう休め。後は自分でできる。」
蓮様の腕を慌てて掴み、動きを止めた。
「な、なんだよ……////」
もっと一緒にいたい。
声を聴いていたい。
「わ、私は執事です……蓮様がお眠りになるまで休むわけには……」
「俺の命令だからいいんだよ。ほら、さっさと部屋に戻れ。いった……!」
手に力が入る。
「蓮様……お願いします……」
「わ、分かった!分かったから放せ!腕いてぇから!」
「っ!申し訳ありません!」
「ったく……やっぱ変だぞ……」
分かっている……
嫉妬してるんだ。
親友の賢人様に対して……
それを認めてしまったら……蓮様に恋をしていることを認めることになる。
蓮様の近くには居られなくなる……