第2章 鈴取り再戦
「空風リエ、今からはたけカカシと戦ってもらう」
帰郷から一週間、いくつかの任務をこなしていたリエは火影に呼び出され、唐突にそんなことを言われた。
資料上でしかリエの強さを知らない綱手が、三年の間の成長を知る意味も兼ねて確認しておきたいということだった。
綱手と付き人のシズネ、そしてカカシと共に第三演習場に向かう。
「ま、戦うって言っても、やるのはコレだけどね」
そう言ってカカシは鈴を取り出しにっこり笑った。
見覚えのあるそれが、リンと音を鳴らす。
「……懐かしいですね」
第七班結成の際行った、鈴取り演習。
ピカピカの額当てをつけて、アカデミーに戻されるかもしれないという不安と戦いながら、結局は皆が個人プレーをしてカカシに「忍者をやめろ」とまで言われて。
あのときは…当たり前のようにサスケがいた。
「リエ、今回は俺から鈴とれそうか?」
自身の腰のあたりに鈴の紐を結びながら、カカシが問う。
「….そうですね。今回は取らせて頂きます。昔とは、違いますから」
あの頃の自分は、本当に何も出来なかった。
忍術もろくに使えず、体術も人並みで。
本当に大事なものが何かもわからず、戦う理由も曖昧で。
でも今は違う。
取り戻したものがある。
失ったものもある。
そしてある決意の下、自分は強くなった。
強く、してもらった。
覚悟も想いも、あのときとは違うから。
いくら天才と謂われるカカシであろうと、ただの鈴とりゲームで負ける気はしない。
リエはある悪戯を思いついて、クスリと笑った。