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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第10章 ONE MORE KISS


 ジェノバ戦役のメンバーの元に連絡が入った。
忘らるる都
その場所で、馴染みの顔ぶれが集まる。

「皆さん、お集まりですね」
「リーブ!」

正装した面々が主催者を迎える。

「で、主役は?」
「遅ーい!」

柔らかな花の香りを乗せた風が一同を包む。

「待たせたな……」
「遅いっ!」
「ごめんなさい、このドレス、歩き難くって」

黒の長いマントに身を包んだ正装のヴィンセントの影から、ロングドレスのシャロンが姿を現す。
シフォン素材のドレスに花の飾り付けが優美で、一同から感嘆の声が漏れた。

「シャロン……! 綺麗よ、とっても」
「はえー……シャロンってこんなに綺麗だったっけ……」
「ユフィ、彼女はいつも美しいぞ……」

ヴィンセントが少し得意げにシャロンの肩を抱く。

「そーだけどさ、なんかやっぱりドレスを着ると、見違えるよ。ヴィンセントもさ!」
「本当だよなぁ! あの根暗がこんなに立派になるもんなのか」
「バレット! ヴィンセントは根暗じゃないわ、冷静なだけよ」

シャロンがヴィンセントの胸に手を当てて彼を擁護する。
シドが組んでいた腕を解いてバレットとシャロンの間で手を振る。

「あーわかったからむくれるなって。二人共、いい感じだぜ」
「ええ、お二人共、よくお似合いですよ。さ、クラウドも何か言葉をかけてあげたらどうですか」

クラウドはもたれ掛かっていた木から離れ、輪の中へ入っていく。

「二人共、おめでとう。シャロン……お前と話すと、昔の事思い出す。色々あったけど、ヴィンセントなら全て受け入れてくれる……と思う」

シャロンがにこりと笑いかけると、クラウドは照れくささを誤魔化すようにヴィンセントへ向き直る。

「ヴィンセント……シャロンの事、大切にしろよ。何があってもお前の事を一番に考えてくれる奴なんて、他にいない」
「あぁ……わかっている。お前こそどうなんだ……」
「……俺の事はどうだっていいだろ。とにかく始めろよ」

クラウドはまた少し輪の中から一歩離れる。

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