第5章 Storm
我に返ったシェルクが後退り、バツが悪そうに謝る。
ルクレツィアのデータを取り込んだだけでは起こっていなかった反応に戸惑っていると、リーブが勇ましげな足取りで部屋に入ってくる。
「ヴィンセント、あなたの言う通り、立ち止まっている場合ではありませんでしたね」
立ち直ったリーブが神羅屋敷で見つけたデータについて他になかったかとヴィンセントに質問する。
どうやらデータが不完全らしく、オメガについてきちんと把握できるまでに至らなかったらしい。
その話を耳にしたシェルクが、そのデータを自分に取り込んでみないかと提案した。シェルクの中には、エンシェントマテリア入手のため、命令によりルクレツィアのデータの断片を数多く記録している。シェルクはそれが不完全なせいで自身の思考にまで干渉してきたのだと考えている事を伝えつつ、他のデータも取り込めばデータの補完、修復が可能かもしれず、お互いの利益になると提案したのだ。
ヴィンセントとリーブがシェルクの意外な提案に互いに顔を見合わせているとユフィから無線が入る。
そこで伝えられた通り外に出ると、シドの飛空艇師団が本部上空まで来ていた。
崩壊したWRO本部をシドの飛空艇シエラ号に移してもらえるということらしかった。
重要設備等必要なものだけを積み込んで、WROは部隊を分かち本部を空に移し体制を立て直すこととなった。