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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第4章 Asrun dream


 カダージュは後日、神羅の社長に連絡を取ることにした。神羅が何かを隠していることは明白であったから。情報を引き出すための武器は多い方がいい。彼はシャロンを腕に抱いて森を後にした。
カダージュが指定の場所へ着くと、車椅子に乗った白い布で体を覆った男が待っていた。

「星痕症候群か……。きっと罰が当たったんだ。母さんを隠したりするから」
「遅かったな。待ちくたびれたぞ」
「この子を連れて歩くのに少し手間取っていたんだ」
「一人で来る約束ではなかったか?」

カダージュは車椅子の男の視界に入るよう彼女を床に横たわらせる。
深い眠りについたように目を閉ざしたままの彼女は、呼吸をしているわけではないが肉体の腐敗などもない。まるで彫刻のようなのにカダージュの手から離れた腕は重力に従ってぶらりと垂れた。

「シャロンか……」
「社長、やっぱり知ってるんだ」
「だが、生憎と因縁の浅い女だ」
「じゃあ、誰と因縁が深いのさ?」

社長は、思わせぶりに笑ってその質問を流した。

「なあ、カダージュ。その前にひとつ教えてくれ」
「ひとつだけだよ」
「お前はジェノバ細胞を手に入れて元どおりになると言っていた。あれはどう言う意味だ?」
「彼が……帰ってくる」

カダージュの話によれば、ジェノバはこの星を支配するため、思念体を通して何度でもセフィロスを復活させることができるという。
しかしそれは憶測でしかない。ジェノバの本意を知らない操り人形は、感じるままに動くだけだった。
街の中心に建設されたモニュメントにジェノバが隠されていると仮定したカダージュは、召喚獣を呼び出し、モニュメントを破壊した。

何人もの人が倒れた。再興に向け進んでいた建物さえいとも簡単に崩れていく。
街に取り残された子供達を救うべくタークスの人間も中心地で戦っている中、破壊は繰り返された。
社長はそれをよく思わなかった。街の破壊が自分を揺さぶる策だったとしても、それに乗るしかなかった。
しかし、ただでは乗らない。社長には大きな手札が残っている。
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