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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第3章 IN FLAMES


 彼には気がかりなことがあった。近頃この辺りを出入りしている若い男たちだ。銀髪に黒ずくめの衣服、どこか既視感を覚える姿に悪い予感を感じていた。
微かに聴こえていた彼女の歌声が止む。代りにバイクの排気音と、女性の抵抗する声が遠くに聞こえてきた。

「……この地を穢す者を放ってはおけないな」

シャロンを見上げ少しばかり躊躇する。歌声が止んだことも気がかりだったが、彼女の側を離れる事に少しの抵抗を感じた。
しかし、先程の女性の声からは不穏な事件の匂いがした。
ヴィンセントは後ろ髪を引かれる思いを振り切り、音の消えた方角、忘らるる都へと足を進めた。


 湖のほとりで三台のバイクが並び合う。
降り立った男たちが抱えていたのは、懐かしさを感じる制服。タークスのスーツに身を包んだ、ツォンとイリーナだった。
ヴィンセントが暗闇に身を隠し様子を窺うと、二人のタークスは全身に打撲を負っているらしかった。彼らを連れ去ったのはこの頃近隣を出入りしていた三人の銀髪の青年だ。青年はカード状の何かを手にしながらツォンとイリーナを拷問しているようだった。
黙秘を続けるタークスの二人にしびれを切らし青年が手をあげた時、一陣の風が吹く。
こうしてヴィンセントは、二人を救うべく再び戦禍に飛び込んだのであった。


 タークスを取り逃がした三人は、ヴィンセントの存在を不審に思い、辺りを捜索することにした。
白く光る木々の間を歩いていくと、一層強く光る巨樹に目が止まる。
青年はそれに目を奪われ導かれるように歩を進めた。

「おいカダージュ、どこへいく?」
「これ……一体なんだと思う?」
「木だろ」

巨樹の周りを探ると、中に隙間を見つけた彼は恐れることもせずその中を覗き込んだ。

「何が見える?」
「あの結晶……人に見えるよ」
「おい、こっちから入れるみたいだぜ」

反対回りに木を捜索していた一人が声をかけ、一同はその木の中へ侵入した。
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