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ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】

第7章 彼女は花に成る







「あの人は只のお菓子作りの先生です!!!今日の為にケーキ作りを「………沙夜子、一緒に眠ろう。」



言葉を遮り呟いた彼は酷く悲しそうに

そしてあまりにも愛しそうな声色を落としたので私は声を失った


ゆっくりと伸びる大好きな彼の手は針を持っていて


私は私の運命を悟った


今まで私の言葉を聞き入れ続けてくれた彼は遂に其れを辞めてしまった


私は其れだけ彼を傷付けたのだとその時に成って初めて気付いた


馬鹿みたいに痛むのに動く手首


骨が折れている訳じゃ無くて


こんなにも怒りを露にしているのに彼は本当に優しい人だな………なんて思う



彼と出会えて幸せだった

傍にいれるだけで夢の様だった


彼に殺される事に恐怖は微塵も無かったけれど


やりたい事は沢山あって


伝えたい事が沢山あって


彼をこんな風に追い詰めてしまった事に


声が届かない事に涙が流れた



「イルミさん………冷蔵庫にシフォンケーキがあります………あとね、私頑張ってチョコレートで花を作りました………!」


「お花のモデルはこの部屋くらいのおっきいお花で………またイルミさんと見てみたいなぁと思って………あとはね、今日作ったホイップクリーム塗ったら完成です」



「三年記念のお祝いです!!………チョコレートのお花……ちゃんと飾って食べて下さいね?………じゃないとみすぼらしくなりますから!」


「ちょっと失敗して花弁を大きく作り過ぎたんですけど豪華になる筈です…………………」



今更無意味な事ばかり吐き続けた私の額に針の先が当たった


大好きで大切な人


これから先もずっと




「……………ねぇ……………イルミさん…………大好きです」




最後に瞳が映したのは涙を流す儚い彼の姿だった









おわり
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