ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】
第3章 俳優イルミさんとマネージャー
実質家は目と鼻の先にある
多忙な彼の生活を支える為に近くの安いアパートへ引っ越した
今から帰ってもたった数分の距離だった
私は小道具をリビングの端に置くと頭を下げて玄関に向けて歩き出そうとしたのだが手首を掴まれてつんのめる
「……な、……何ですか……?!」
振り向けば無表情な彼と目が合った
「まだ話してる途中なんだけど。」
「……お話はまた今度?で!明日も早いですよー!」
平然を装った私をチラリと見遣った彼は何かを考える様に視線を空に反らした後に
「………うーん。それかさ、いっその事沙夜子も此所に住めば?」
「…………は………?」
良く解らない事を言い出した
未だ掴まれたままの手首が熱い
彼が一体どういうつもりでそんな事を言い出したのか私には理解出来なかった
「もしかして酔ってます………?」
「俺水しか飲んでないけど、酔えるの?」
「………えっと………どうされたんですか………?何か変ですよ………」
「変?………まぁ、確かに変だよね。」
言うなり私の身長に合わせて屈んだ彼は今までに無い至近距離で私を射抜いた
印象的で大きな瞳は見たことが無い色を湛えていて頭がクラクラとする
「口説き方間違えたかな。俺沙夜子が好きなんだよね。何時からかは解らないけど」
「………うそ………」
「本当。だから此れからはプライベートもマネジメントお願いしたいんだけど」
「……………え………」
「答えは?…………どうなの。」
「………はい………」
状況が理解出来ずに只唖然と答えた私に不適な笑みを浮かべた彼は
「これもスキャンダルになるのかな」
なんて悪戯な声を上げたのだった
おわり