第2章 *二ノ章*
音也と別れて家に帰る途中の事。
頭上からチチ...と小鳥の鳴き声が聞こえた。
ふと頭を上げて気を見上げる。
(あ……)
小鳥に優しく微笑んだ少年が居た。
何故かその少年は不思議な雰囲気を纏っていた。
幾つもの矛盾した表現が出てくる。
ぼうっと見上げた私に気付いたのか、ふっと優しかった雰囲気を消した。
「君、さっきから何してるの?」
騒がしい中でもよく通りそうな綺麗な声。
「ねぇ、聞いてるの?」
「あ、ごめんなさい。小鳥の声が聞こえたから……」
「……はぁ」
呆れたようにため息をつき、木からひらりと降りてくる。
改めてみるとやっぱり綺麗な人……というのも可笑しいかもしれない。
体格や身長からして恐らく男性。
「あまり人をじろじろ見ないでくれる?」
「あ、すみません!」
舞い落ちてくる桜とその人の姿はあまりに絵になったいた。
くるりと背を向けて歩き出すその人の姿はこの世の“人”ではない気がした――。