第13章 2度目の初めまして
『溢れた愛をまた掬いあげて
解けた糸を結び直せたら
争う夜も許し合う朝も
きみを想って素直に愛せたかな
なぜか涙が溢れて僕は
きみが見えなくなってしまったな
重ねた愛をあの温もりを
きみも忘れて幸せになってね』
誰に向けて歌うのか
ただ1人は海に向かって歌う
忘れて欲しい
まるで願うように歌う
砂浜に寝転んでいるは寒さに身体を震わせる
『…薄着だったかな…まぁいいや。…ん?』
まるで何もかもどうでも良いと言いたげな声色は生きる事すら諦めている様だ
が横を見るとトコトコと歩いていくカニ
『ぷっ…あはは!まさかカニに歌を聞かれてたとは』
クスクスと笑うとは反対に捕まらないように急いで歩いていくカニ