第1章 太陽が輝く理由
「分からないよ。分からないけど!」
テラレスの叫びに、月は伏せていた瞼を持ち上げます。
テラレスは月に歩み寄り、ざらざらに燃え上がった表面にそっと触れました。
「太陽様は、あなたが輝けるように、みんなに気付いてもらえるように、光を与えてくださったんでしょう?」
風が吹いて、炎がかすかに燃え上がりました。
「鳥が言ってた。太陽様は光が強すぎて見る事が出来ないって。」
でも月の事は、みんなが見てる。
夜を照らすあなたの事を、みんなが見ていた。
「太陽様はみんなにその姿を見てもらえない分、あなたを見てもらえるようにあなたを輝かせたのよ。」
月の目から涙がこぼれます。
「・・・そうだったんだな。」
俺は恩を仇で返すような真似をして、太陽にあんな事を・・・。
「やっぱり、太陽は王様だったんだな。」
「そうよ。太陽様は誰よりもあなたを見ていてくださったのよ。」
「そうか。そうだったのか。」
月が弱々しく笑みを浮かべました。
「見てもらえなかったのは・・・いや、俺が隠していたのは、俺の心だったんだな。」
月の瞼が重く下がります。
「本当にすまなかった・・・。」
瞼が閉まると、大粒の涙がこぼれ落ちました。