第1章 太陽が輝く理由
テラレスはシーエを見上げました。
シーエは悲痛な顔をして月を見つめていました。
「なんて愚かな・・・。」
月に対して怒りをあらわにしていたみんなも、今は複雑な表情を浮かべていました。
テラレスには月の気持ちが分かったような気がしました。
1番になりたい。誰でも思っている気持ちです。
きっとみんなも心当たりがあるのです。だからこそ複雑な表情を浮かべているのでしょう。
何よりテラレスは、ひまわりの国では2番目の存在なのですから。
「分かるわ。」
テラレスは無意識に呟いていました。
「あたしも兄さんが羨ましかったもの。」
長老の息子であるシーエは、小さい頃からみんなにちやほやされていた。
幼い頃のシーエは、それが羨ましくてならなかった。
「いつか本物のリーダーになりたいと思っていたわ。」
あたしが1番に生まれていたら、リーダーになれていた?
みんなのために何か出来ていた?
尊敬され、期待され、みんなに感謝の言葉をかけてもらえた?
ここに来る時も、父さんに止められたりしなかった?
あたしの言い分を「我侭」と捉えられず、素晴らしい「勇気」と褒め称えられていた?