第1章 太陽が輝く理由
「僕が行きます。」
名乗り出たのはシーエでした。
「父さんはもう歳ですし、ひまわり達の次期代表として、僕が行くのが定石でしょう。」
長老は一瞬親としての心配を顔に現しましたが、すぐに力強く頷きました。
「よく言った。それでこそ未来のリーダーだ。」
空では何が起こるか分かりません。ましてや相手は横暴な月です。
しかしシーエはみんなのため、ひるまず危険に立ち向かおうと言うのです。
シーエの勇気ある行為に、住民から拍手が上がりました。
「おい!俺も行くぜ!」
声のした方にひまわり達の視線が集まります。
叫んだのは、ひまわり達の中でも特にのっぽの男でした。
顎に生やした黄色の髭を撫でながら、シーエ達の方に猫背で歩み寄ってきます。
「あたしも!」
今度は緑色の手が天高く挙げられました。
肩から先が緑色の少女が、その葉っぱのように大きな手で住民の群れをかき分けます。
「シーエだけにそんな危ない真似させられないわよ!」
少し叱るような声を上げたのは、黄色の綺麗なロングヘアーをした若い女。
右耳周辺が、まるでそこだけ花びらを失った花のように、髪の毛がごっそりとありませんでした。
「そうだそうだ!オイラ達はいつも一緒だろ!?」
住民の群れからどうにか飛び出て来たのは、ちびででっぷりとした少年でした。
その足は地面にしっかり根付いた根っこのように大きく、力強く地面を踏みしめます。
彼らはテラレスとシーエの親友であり、先ほどかくれんぼをしていたメンバーでした。
「みんなで力を合わせて、太陽様に、地上に光を取り戻そう!」