第2章 生贄の乙女#
「ん…………は、ァ…」
咳が鎮まり、呼吸も定まって一安心…といきたい沙里だが、触れられているお腹がやけに熱い。
そこから広がる感覚に背筋がムズムズして、足先が幾度もピンと伸びたり緩んだりする。
恐怖と悲しみに支配された体が、別の何かに侵食されそうだ。
それは…初めて味わった快楽の一角。
性に関しては純粋で無知な子だったのに、本能でそれがキモチイイと分かってしまった。
もっと刺激が欲しいと体がうねる。
(…もっと、触ってほしい…気持ちよく…してほしい……)
頭の中を堂々と廻る欲は、気付けば口を衝いで出てしまい、微かな声も狼の立った耳には大きく聴こえた。
「もちろんだ…お前は何も考えず、身を委ねればいい…」
レイは身長が2mをゆうに超しているため、体を前に倒せば沙里をすっぽりと覆うことができた。
彼女が台に乗せられていても、だ。
液体の効果で早くも上気した沙里の頬を、赤い舌を出してペロリと舐める。
ああ…若い女の味がする…
レイは両側の口角を吊り上げて、快感に目覚め始めた女を嘲笑った。
レイに舐められた透明な跡が頬を伝っている…。
彼女はそれにすら感じてしまい、目を閉じて短い喘ぎを漏らした。
クッ…。
喉奥で笑ったレイは、白い腹に置いていた手を上へと伸ばし、ささやかな膨らみを鷲掴む。
両の手で乳房の形を歪ませながら、立派に勃った頂を筋張った指先で弾いた。
「ああっ!ヤッ、だめぇ…!」
「ダメはイイの裏返し…だな。素直に全部曝け出せばいい。」
「あ…はぅ、ァ…あん…」
脳を痺れさせるような低い声が、体の中にじわじわと染み入ってくる。
まだ僅かに残っていた羞恥心の最後の糸は、ブチッと大げさな音を立てて千切れた。