第2章 episode0 転生の時間
その時まで、私は至って平凡な――――――否バカではあったが、
割とどこにでもいる民間人だった。
ことの発端はつい3日ほど前のこと。
いつものように仕事をこなし、疲れ果てて帰路に着いた私は、
なだれ込むようにベッドの上に崩れ落ちた。
一息ついたのもつかの間、素早く楽な格好に着替え
夕食をとりながら、趣味のイラストの練習をする。
決してお世辞でも上手いとは言えない。
否下手な自覚はある絵だが、
最近ブームの暗殺教室の絵が描きたくて、
アラサーも間近な今になって猛練習中な訳である。
その日も、特に変わったことはしていなかったと思う。
ずっと使っていたノートがなくなったので、前日に買っておいたスケッチブックを使う時が来た。
とむしろ喜々としていたような記憶さえある。
「うむ。うぬぼれだけど、大分渚くんや業くんは描けるようになってきた。」
ホントに完全に自惚れだった。
【馬鹿者。もっと修行せんか!】
「へ?」
突然聞こえたおじいちゃんっぽい声。
その直後走る眩しい光。
次の瞬間私の目前には見覚えのある教室と見覚えのないクラスメートの姿。
「!?」
(な、ナニコレ!? 夢? ・・・・・・あ。そっか疲れて寝ちゃったのか。)
最初はそう思った。