第4章 episode2 研究の時間
トリップしたと自覚してから、早2年。
結末を知っているのに何もしなかった私ではない。
幸いなことに、現実に居た時より頭がよくなっていた。
そして、勉強の合間にしていたこと。
それは、殺先生をなんとか救えないか。というものだった。
2代目死神が柳沢に施された寿命は短いけどマッハ40で移動でき、爆発もしない触手。
それにヒントがあると踏んだ私は、必死に研究した。
そして、あるいくつかの事が自宅のメモから判明した。
1つ目
まず、私は本来この時間軸でも大人だったらしい。
ただし、殺先生ともあぐりさんとも直接的な面識はない。
メモから私の前にこの体の持ち主だったその人物は、
同じくトリップしてきたらしいが、殺先生を救うための実験中
亡くなったようだ。
2つ目
その過程で出来た副産物。
成長を操る薬と時空を超える能力を得られる触手の種。
成長を操る薬で今の中学生にまで戻り、今の私が居るらしい。
逆順で作った薬を飲んだら、ホントに大人になった。
どうやら、前任が得られたのはここまでのようだ。
時空を超える触手も、特定の状況下でなければ発動しないらしい。
「えーっと、何々?」
1.自身がある程度の年齢になっており、暗殺技能が高いこと。
2.過去を変える度に自身が死ぬ可能性が上がること。
3.どんな世界軸になっても、自身が死ねば最初に戻る。
3はどうやら、この世界にトリップした私のような状態を言っているらしい。ってことは、前任者はただ死んだのではなく、時空を変えようとして死んだ?
例えば、あぐりさんが死ぬのを阻止しようとした。とか
柳沢を殺した。とか?
私だって死ぬのは怖い。っというより、苦しいのは嫌だ。
でも、結末がわかっているのに何もしないのはもっと嫌だ。