第2章 ふたりの距離
「真島さんだけには誤解されたくないので、はっきり伝えたかったんです!」
雅美の気持ちの表れなのか、ずいっと真島に近寄ってきた。
真島は目を大きく見開いて驚きながら雅美の話に耳を傾ける。
「この前、電話してきた人の事なんですけど……」
ドキッ!と真島の心臓が大きく飛びはねる。
もちろん口には出さないが、1番気になってた内容なだけに雅美の言葉を瞬きせずに待った。
「その人は私の叔父なんです」
「叔父?」
恋人とか好きな人じゃなくて……、叔父!?
予想外の展開に思わずオウム返しをしてしまう真島。
「小さい頃、両親が亡くなってそれから親戚の叔父夫婦の元でずっと世話になってるんです。だから昔からあまり反抗できなくて……」
雅美は申し訳なさそうに、真島を上目使いで見つめながら話す。
「あの時ハッキリ言えばよかったんですよね。すみませんでした」
「……何で雅美ちゃんが謝るんや」
「真島さんから逃げるように部屋から出ちゃって、その事で怒って、真島さん店に来てくれないんだと思ったから」
真島から目線を外し、淋しそうに俯く雅美。
店に行かなかったのは、単なる自分の心の弱さだったのに、
それを雅美は自分のせいだと感じていたなんて。
それに加えて……。
「俺はずっとオッサンに嫉妬しとったんかいな」
真島はただの同居人に馬鹿みたいに嫉妬して、考えなくてもいいような事まで想像して。
この数日間、心を擦り減るぐらいまで悩んだのに、
こういうオチだったとは。
「俺はずっと何してたんや、ほんまに」
自分の不甲斐なさに思わず頭を抱えた真島は、
ガックリと肩を落として前へ屈み込んだ。
その姿に##ame1#が真島さん!?と慌てた様子で声をかける。
「でもよかったわ~」
「何がですか?」
「雅美ちゃんの彼氏とか好きな奴だったら、どないしよーってずっと考えとった。単なる叔父さんでほんま安心したわ~」
大きくため息をついて、漸く笑みが零れた真島に、
雅美は複雑な心境のまま笑みを返す。
そんな表情を知らない真島は俯いたまま頭を勢いよく掻いた。
「あーっ!何かごっつ腹減ってきた!これ食うてええんか!?」
真島は絶叫した後、白い箱に手を伸ばし強引にリボンを解く。